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昨年ニューヨークの物価について述べたが、この1年間の物価の上昇はニューヨーカーの日常生活に深刻な影響を及ぼしている。ガソリンの価格は40%値上がりし、車から公共交通機関の利用を余儀なくされている。だがその公共交通手段の要である地下鉄の運賃も、現在の2ドルから2ドル25セントに値上げされることが検討されていて、2009年の7月にも実施される見込みだ。
[このところの物価の上昇でニューヨーカーの顔から余裕の表情が消えたかのようだ]
特に深刻なのは食品の値上がりで、殆んど全ての品目にわたり20%~50%の値上がりをしている。主食(お米、パンなどの穀類)は50%近く値上がりし、コーンフレークは5食分程度で5ドルにまでなっているものもある。
アメリカでは低収入の市民にはフードスタンプという食費の給付の社会保障制度がある。しかしその支給額は物価の上昇率に直ぐには反映されないので、アメリカの貧困家庭に与える影響は大きい。値上がり率の大きかった身近な食品を挙げると、お米(約5キロ)8ドル→12ドル、食パン(600グラム)1ドル20セント→1ドル60セント、16枚入りスライスチーズ1ドル99セント→2ドル49セント、デリで売っている355ml入り缶ジュース(1缶)50セント→75セント、710ml入り缶ビール(1缶)1ドル→1ドル25セント、という具合である。ただしこれらの価格は比較的物価の低い地域での具体例で、マンハッタン内の観光名所周辺では、さらに物価の上昇率は高い。
筆者をはじめとする米を主食にしている人々にとって米の値上がりは深刻な問題である。また筆者個人としては、露天商のバナナが1本25セントから35セントに値上がりしたのは大きな痛手である。街をぶらついている時、小腹がすくといつも買って散歩を楽しんでいたのだが、こんなささやかな日常のひとコマにも物価上昇は影を落としている。
このシリーズの第2回では、ニューヨークの住宅事情について述べたが、この物価上昇による賃貸アパートの家賃の高騰について触れておく。まずニューヨークの賃貸アパートには家賃の上昇率がRENT STABILIZATION LAWという法律で定められているものと、そうでないものとがある。RENT STABILIZATION LAWで保護されているアパートの家賃の上昇率は、1年契約の更新で3%~5%程度だ。しかしこの法律で保護されていないアパートの家賃は、契約更新時に大家の判断で自由に決定される。ここ数年、大家は諸経費(税金、水道料金、特に暖房用軽油の高騰)の負担が増えたことを理由に大幅な家賃の値上げをしているのが現状である。家賃が前年の2倍以上になるようなケースもざらである(ちなみに筆者のアパートは不幸にもこの法律に保護されていないので、昨年は9%、今年は6%の値上がりとなった)。大幅な家賃の値上がりで、住み慣れた住居の退去を余儀なくされるニューヨーカーも少なくない。
[家賃の高騰はNYの有名クラブをも廃業に追い込む(CBGB跡)]
相変わらずニューヨーク市(特にマンハッタン内)の家賃相場は高いが、ここに住みたがるひとは多いので、大家は高い家賃を設定した結果、安い家賃で契約していた借主に引っ越されてしまっても、新しい借主を探すのにさほど苦労しないのである。第2回の章でアパート選びのポイントを述べたが、自分が借りようとしている物件がこのRENT STABILIZATION LAWで保護されているかどうかを確認することを追記しておく。
この先、更なる物価の上昇があらゆる領域にわたって予想される。このことを真剣に考え、そしてそれに備えなければならないが、ニューヨーカーにとってはまさに今がその時かもしれない。
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