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中村雅俊さんの二人でできることって。 Interview02 夫のいるウィドウ(未亡人)の選択 Interview03 家族と会社のプライオリティ Interview04 いちばんうれしい時はいつ? Interview05 ステージに立つ時間 「60歳のラブレター」についてはこちら

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Interview01

ちゃんと導いてくれる映画

試写を観せていただきました。思わず泣いてしまいました。

そうですか。ありがとうございます。実は、結構反感をかっているんですよ、俺の役は自分勝手すぎる男だと(笑)

――ああ、それは分かります。(笑)原田(美枝子)さんとの主人公カップルのストーリーの結末は、きっと議論があると思います。でも観ているうちに自分の半生が蘇ってくるつくりになっていて、ぜひたくさんの人に観てもらいたい映画だと思いました。
個性的な共演者が揃いましたね。

そうですね。残念ながら、3組のストーリーなので他の組とはあまりご一緒できなかったんですが、味のある方ばかりですから見応えがありますね。

――主人公のお二人の周りに、ハレの演技の方とケの演技の方がいい具合にバランスされているように感じました。綾戸智恵さん、イッセー尾形さん、戸田奈津子さんとかがハレで、井上順さん、星野真理さんとかがケの演技で。

なるほど。全編を包む波の変化になっているかもしれませんね。綾戸さんて、ピアノを弾いて歌ってらっしゃる時ももちろん素晴らしい表現力で圧倒されるんですが、お芝居も非常にリアリティのある演技をされていて、大変おもしろく見させていただきました。

――監督の深川栄洋さんは、まだ32歳だそうですが。

うちの息子と一つ違いなんです。

――この年代を描くわけですが、どんな感じでしたか。

それは、プレッシャーがかかったんではないでしょうかねぇ。手ごわい連中ばかりが相手ですから。でも、若いにもかかわらずきちんと「もの申す」という感じで、的確に演出されていたので俺らも「ハイハイ」という感じで監督のいうことを聴いていましたね。ですから団塊世代とそのジュニアの世代がうまくコラボレートできたと思ってます。セッションをしている感じがありました。

――脚本の古沢良太さんもまだお若いですよね。

確か36歳ですね。「ALWAYS 三丁目の夕日」を観てても、そんなに若い方とは思わなかったんですが、現場に遊びに来たときに「なんだこの若造は」みたいな感じでしたよ。「えっ、彼が書いてんの」みたいな。凄いですよ。
もともとこの「60歳のラブレター」の原作は、一般の方から寄せられた短い手紙なんですが、そこからよく膨らませて、よく書いたな、と。撮影現場でも「どういう感じで書いたの」なんて質問したんですけど、「頭のなかでどんどん、どんどん膨らんでいった」とおっしゃってましたが、感動へ引っ張っていく力が凄いですよね。

――みごとに引っ張られましたね。(笑)元の手紙もお読みになったのですか。

8万通以上もあるので、全部は無理だったんですが、読ませていただきました。印象としては、非常に味わい深い言葉が多いです。長く連れ添った方じゃなきゃいえないような言葉がたくさん詰まっていましたね

――私も読ませていただきましたが、身につまされるという手紙が多かったですね。

読むと、いろんな方に当てはまる教訓みたいなものが多いです。

――この映画もいろんな方に当てはまるように創られていますね。丸いホールケーキの中から、古沢さんが食べやすいように3切のケーキを切り出したような感じですよね。だから、実話を元にという意識で観にいくと多少違和感がありますね。やはり設定の都合よさとかがありますから。実話という下敷きを強調しすぎない方が、すんなり楽しめると思いました。

そうかも知れませんね。「三丁目の夕日」もああいうちょっとファンタジックなシチュエーションだから、特殊な設定に違和感がないというのはありますね。この映画も実話というより、いろんな人に当てはまるように構成しているので、架空のラブストーリーとして観ていただいた方がいいかもしれません。ただ、実話という先入観があってもなくても、ちゃんと導いてくれる映画になってますよね。

――うまいな、思ったのは、3つのカップルのうちで主人公の孝平とちさとのストーリーが、どうなるんだろうと最後まで気を持たせるじゃないですか。

そう。最後の話のおさめ方もいろいろ選択肢はあったと思いますよね。引く、留める、押す、というように。映画を観ながら自分の中に膨らんでくるストーリーと映画の結末をすり合せるのもおもしろいでしょうね。

――いつも理想的なカップルのランキングの上位にいらっしゃいますが、正反対の役をするのに意識されたことはありますか。

逆に愉しみましたね。俺たちの職業って、イメージがこうだからイメージ通りのものをプレゼンで出すんじゃなくて、いい裏切りというか、「中村だったらこうだよね」というところをちょっと捻って出していく。それも役を演じる上での愉しい部分でもあるんです。今回、最初に台本読んだときに、トップシーンなんか自分のイメージからすると、「えっ、どうなんだ」というような衝撃があったんですよ。

――ああ、原沙知絵さんとのシーンですね。

そう。でも全体を読み終えた時の印象は、「面白い」と。演じているうちに自分の中でいろいろな葛藤があるだろうけど、「これは面白い!」というのが、素直な感想で、「是非やりたい」という感じでしたね。
それと同時に、いい脚本(ほん)なんでプレッシャーってかかるんだなぁ、と思いましたね。脚本を読んだ時の印象以上のものを実際に映像として、作らなきゃいけないんだという思いが湧いてきましたね。

――古沢さんの脚本が、カップルの典型例として提示されているので、分かりやすいといえば分かりやすい男かもしれませんね。

そうですね。まさに典型的な。成功と思惑違いの挫折と、その中で気づいていくものがあって、という展開は男としては、分かりやすいものでしたね。

【ご注意】

ここから先は、決定的な「ネタバレ」はありませんが、作品をごらんになってから読まれる方が、より分かりやすいかも知れません。

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